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暴力をふるう夫の場合

夫が暴力を振るうなどのDVが理由で離婚したような場合、父親からの面接交渉が認めらなかったり、一度決めた面接交渉が取り消される場合などがあります。

面接交渉を認めなかった裁判例としては、次のようなケースがあります。

夫の暴力が原因で離婚した後、この元夫に対しては、妻や子どもたちにつきまとってはいけないという接近禁止の仮処分決定が出されていました。その元夫が、子ども達との面接交渉を求める審判を申し立てたところ、裁判所は、父母の対立が激しく、そのような中で面接交渉を認めることは、「子の福祉」に反する、つまり子どものためにならないという理由で、元夫の面接交渉の要求を認めませんでした(東京家裁審判平成13年6月5日)。

また、別の裁判例では、夫が子どもの目の前で、妻を多数回殴って怪我をさせるなどして離婚したケースで、夫から面接交渉を求める審判の申し立てに対し、家庭裁判所は、子どもが両親の抗争に巻き込まれるおそれがあるとして、面接交渉を認めませんでした(横浜家裁審判平成14年1月16日)。

一度決めた面接交渉が禁止された裁判例としては、次のようなケースがあります。離婚裁判における和解で、2か月に1回の割合で父親が子ども達に会うとの合意が成立しました。しかし、その後父親が覚せい剤の使用により刑務所に入るなどした上、出所後、元妻の家に押し掛けたり、暴力を振るったりしました。このケースでも裁判所は、面接交渉を認めた和解を取り消して、父親が子どもに会うことを禁止しました(浦和家裁審判昭和57年4月2日)。

やはり、暴力を振るう父親の場合、母子ともに悪影響がありますから、このように面接交渉が制限されるのもやむを得ないでしょう。

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