協議離婚もまとまらず、調停でも決着がつかない場合には、家庭裁判所に離婚訴訟を起こして、離婚の判決をもらうことになります。調停のところでも説明しましたが、離婚訴訟を起こすには、その前に調停での話し合いを行わなければならず、いきなり離婚訴訟を起こすことはできません(調停前置主義)。
離婚訴訟を起こすためには、民法で定められた離婚原因があることが必要です(民法770条1項)。民法で定められた離婚原因とは、①配偶者に不貞な行為があったとき(不倫、浮気)、②配偶者から悪意で遺棄されたとき(同居しない、生活費を渡さない)、③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき、④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込がないとき、⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき、です。
離婚訴訟を起こす際には、これらの離婚原因や、慰謝料、養育費(子どもを扶養するためのお金)、財産分与(夫婦の財産を分け合うこと)、子どもの親権者をどちらにするか、などに関する自分の主張を訴状という書類に書いて家庭裁判所に提出することになります。
離婚訴訟においては、自分の意見や相手の意見に対する反論は、準備書面という書類を提出して行います。また、自分の意見や相手の意見に対する反論の裏付けとなる証拠(例えば、相手が異性とラブホテルに入った写真など)も提出しなければなりません。 これらの書類や証拠により、お互いに意見を出し尽くしたあと、夫婦それぞれに、双方の弁護士や裁判所から質問をする当事者尋問が行われます。
以上の結果を踏まえて、裁判所は判決を出します。
当事務所では、裁判において、依頼者の主張が認められるよう、打ち合わせを重ねて、入念な準備書面の作成、証拠の収集などの事前準備を行います。
離婚を認める判決が出てそれが確定した場合(判決書が相手方に送達されて2週間以内に控訴がなければ判決が確定します)、判決確定証明書と判決謄本を家庭裁判所にもらいに行き、判決が確定した日から10日以内に市役所や区役所、町役場、村役場に持参して、離婚届を提出します。
判決で認められた慰謝料や養育費を相手が払わない場合、給与の差し押さえなどの強制執行を行うことができます。強制執行についても、当事務所で弁護士がサポートさせていただきます。
なお、離婚訴訟の途中で、裁判所を交えて話し合い、話合いがまとまれば和解(裁判上の和解)により決着がつくこともあります。話合いの内容が記載された和解調書の謄本を市役所や区役所、町役場、村役場に持参して、離婚届を提出します。協議離婚の場合と異なり、夫婦や証人の署名・押印は必要ありません。