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夫/妻が子どもを連れ去った

別居中の夫婦間において、子どもと暮らしていない夫あるいは妻が、子どもを連れ去ってしまった場合はどうしたらよいでしょうか。

この場合、調停あるいは審判により、子どもの引き渡しを請求することが考えられます。また、審判前の保全処分という方法によって、子どもの引き渡しを請求することもできます。これは、子どもの面倒をどちらが見るか(どちらを監護権者とするか)についての審判などを行うにあたって申し立てることができます。

家庭裁判所が子どもを引き渡すように命じる審判や仮処分が出たにもかかわらず、子どもを引き渡さない場合、家庭裁判所の調査官が子どもを引き渡すよう説得したり(履行勧告)、お金を支払わせたりする(間接強制)ことで、子どもの引き渡しを促すことになります。

また、子どもの引き渡しには、人身保護請求という方法もあります。これは、請求の日から1週間以内に手続き(審問期日)が行われ、すぐに裁判が行われます。そして、裁判所が子どもを引き渡すように命じたにもかかわらず、これに従わない場合には、罰金や懲役といったペナルティが課せられます。

このように人身保護請求は、迅速でかつ実効性がありますが、子どもの意思に反して連れ去られていること、連れ去った親のもとにいることが子どもの幸福に反することが明らかであることが必要です。子どもの幸福に反することが明らかである場合とは、例えば、連れ去った親のもとにいると健康が著しく損なわれたり、満足な義務教育を受けることができない場合などです。離婚調停中に冬休みの間だけ、子ども達を父親のもとに行かせる約束だったにもかかわらず、父親が子ども達を母親のもとに帰さなかった場合に人身保護請求が認められた裁判例があります(最高裁判決平成6年7月8日)。

子どもの取り合いは子ども自身にも悪影響を与えます。当事務所では、引き渡し請求などを行うにあたっても、子どものことを第一に考えながら、手続きを進めていく方針です。

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