不倫によって離婚に至った場合、不倫をされた夫あるいは妻は、不倫相手に対して慰謝料を請求することができます。不倫によって離婚に至らなかった場合であっても、夫婦関係が危機にさらされて精神的損害を負ったようなときには、やはり不倫をされた夫あるいは妻は、不倫相手に対して慰謝料を請求することができます。
不倫相手への慰謝料は、50万円から300万円あたりといわれていますが、近年、認められる金額は低くなってきているともいわれています。慰謝料の金額を決める際には、どちらが不倫に誘ったか、どのくらいの期間続いたか、不倫によって離婚にまで至ったか、夫婦間に子どもはいるか、不倫相手の収入や資産はどれくらいあるか、などの要素を考慮して決めることになります。
一方、不倫の際にすでに夫婦関係が破たんしていたような場合について、最高裁判所は、不倫相手への慰謝料請求を認めませんでした(最高裁判所判決平成8年3月26日)。夫婦関係が破たんした後の不倫については、不倫相手に対する慰謝料請求は、通常、認められないと考えられます。夫婦関係が破たんしていたような場合とは、夫婦関係が悪くなって別居に至ったようなとき、同居していても、夫婦が口を聞かず、寝室も別々にするなど家庭内別居の状態にあるときなどです。別居しても修復の可能性があるような場合には、まだ夫婦関係が破たんしていないとされる可能性があります。
不倫相手への慰謝料請求においては、不倫をした際に、夫婦関係が既に破たんしていたかどうか重要となってきます。