トップ > 離婚はどんな場合にできる? > 夫/妻の精神病
夫あるいは妻が、「強度の精神病」にかかり、「回復の見込みがない」ことも離婚原因となります(民法770条1項4号)。
ここでいう「強度の精神病」とは、夫あるいは妻が、夫婦としてのお互いの協力義務、特に精神面で相手の支えとなることができないほどの精神病にかかっていることを言います。「強度の精神病」であるか、「回復の見込みがない」といえるかについては、精神科医の鑑定をもとにして、裁判所が判断します。
ただ、裁判所としては、精神病になった夫あるいは妻の今後の療養、生活について、出来る限りの具体的な対策を講じて、今後の療養、生活にある程度の見込みがついた上でなければ、離婚を認めない方針のようです(民法770条2項の「婚姻の継続を相当と認めるとき」にあたるとして離婚請求を認めないようです。)。
なお、アルツハイマーに罹った妻(夫が誰であるかも分からない状態)に対する夫からの離婚請求について、「強度の精神病」にはあたらないが、婚姻関係が破たんしており「婚姻を継続し難い重大な事由がある」(民法770条1項5号)として離婚を認めた裁判例があります(長野地裁判決平成2年9月17日)。
強度の精神病にしても、アルツハイマーやその他の病気にしても、が認められるには、離婚後の生活のフォローを具体的に示すことが必要と考えます。