トップ > 離婚はどんな場合にできる? > 同居しないなど(悪意の遺棄)
夫あるいは妻が同居しようとしない場合や、夫が妻に生活費を渡さないような場合を「悪意の遺棄」と呼び、離婚原因となります(民法770条1項2号)。夫が愛人宅に住みついたり、実家に帰ったままになったりして、生活費も渡してこないような例が挙げられます。私が扱ったケースでもa、結婚してから1回も同居せず、生活費もほとんど渡さなかったというものがあります。裁判所は、悪意の遺棄を主な理由として離婚を認めました。
同居していない場合であっても、単身赴任など正当な理由があるケースは「悪意の遺棄」にあたりません。また、夫からのDVに耐えかねて、妻が実家その他のアパートに避難するような場合や、夫が不貞を繰り返すことからそれを改めさせるために実家に帰るような場合も正当な理由があるので、「悪意の遺棄」にあたりません。
時折、家に帰ってきたり、生活費を渡すなどして、「悪意の遺棄」とまでは呼べないような場合であっても、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)があるとして、離婚が認められる可能性があるでしょう。
これとは別に、夫あるいは妻が、外出したまま家に戻らず、行方知らずになった状態が3年以上続いた場合には、「3年以上の生死不明」として離婚原因となります(民法770条1項3号)。この場合には、そもそも調停による話し合いなど期待できませんから、調停を経ずに離婚訴訟を起こすことができます。