離婚の方法の一つとして、裁判所を通さず、夫婦間で話し合って離婚する方法があります。これを協議離婚といいます。離婚届を作成し、市役所や区役所、町役場、村役場に提出すれば離婚が成立します。要は、離婚届に判をついて役場に出す、ということです。 なお、協議離婚の離婚届の提出には、成人二人以上の証人の署名・押印が必要です。離婚届に、証人の署名・押印の欄がありますので、親・兄弟・親戚あるいは知人などに頼んで、署名・押印してもらう必要があります。夫婦に子どもがいる場合には、夫婦のどちらが、どの子の親権者になるかを決めておく必要もあります。
この方法の当事者間で話し合い、双方が納得して離婚するのですから、離婚の理由などは問われません。そもそも離婚届には、離婚理由を書く欄がありません。
慰謝料、や養育費(子どもを扶養するためのお金)、財産分与(夫婦の財産を分け合うこと)などのお金の問題や、面接交渉(親権者などにならなかった親が子どもと会うこと)についても、離婚届に記載する欄がありません。後でトラブルになるのを防ぐために、合意書を作っておく方がよいでしょう。公正証書にしておけば、後で相手が約束を守らなかったときに、給料を差し押さえるなどの強制執行が可能となります。公正証書は、公証人役場に約束する内容を伝えて作成してもらいます。
当事務所としては、協議離婚するのであれば、慰謝料や養育費、財産分与についてきちんと合意した上で、公正証書を作成する方針です。
離婚届に判をついたけど、「やっぱり離婚するのは嫌だ。」と気が変わったときは、離婚届が提出される前に、役所に行って不受理申出書を書いて提出してください。相手が離婚届を出しても、ストップしてくれます。不受理届を出す前に離婚届が提出されてしまった場合には、離婚無効の調停、離婚無効確認の訴えなどによって、離婚の無効を主張することになります。いずれにしても、簡単に離婚届を押すことだけは避けましょう。